今回は、知り合いの指導員の方にフルコンタクト女子入門について、聞きました。
指導者の方のお話ですので、空手に興味のある親御様に参考になれば幸いです。
押忍!
自分は2歳でフルコンタクト空手(新極真会)に入門し、かれこれ20年以上稽古中の空手女子です。
師範に指導員の許しを頂けるようになってからは、新たに空手の道を志す女性(女の子)の初心者クラスで指導をしております。
昔は圧倒的に男子人口の多かったフルコンタクト空手ですが、近年は女子の人口も増えて試合も賑わいを見せているんですよね。
女子空手は凛としていて涼しく、自然な強さと美しさを兼ね備えているので同性からの支持も厚いですよ。
さて、今回はそんな女子フルコンタクト空手に娘さんを入門させたいという方向けに、入門ガイドと銘打って入門までの流れを解説していきたいと思います!
ひとえにフルコンタクト空手と言っても、道場や流派によってこだわりや雰囲気が違ったりするので、是非この入門ガイドを参考に皆さんに合った道場を探してみてくださいね。
目次
フルコンタクト空手入門ガイド
- 本人の意思を確認し、目的を明確にする
- 目的にあった道場を探す
- 実際に体験入門してみる
- いざ入門!
- 目標を立てる
それでは、詳細をお話ししますね。
1.本人の意思を確認し、目的を明確にする
「空手をやりたい」という言葉、実はお子さんからの大切なメッセージなんですよね。
どうして空手をやりたいと思ったのか、それをお子さんと一緒に掘り起こして見てください。
大人、子供を問わず、入門するからには目的をしっかりと定めたほうがモチベーションの維持にも繋がるのは当然のこと。
また、この目的がしっかりしているだけで、後の道場選びがより具体的なものになりますから。
「凛とした人になりたい」「強くなりたい」「自分に自信をつけたい」等、なんでも良いのでお子さん自身で決めた、お子さんなりの目的を持つことが大切です。
「礼儀正しい子に育てたいから」と道場にお子さんを預けてくださる親御さんは数多くいらっしゃいますが、本当の意味での礼儀はお子さんの自主性無くしては育ちません。
現状をしっかりと見つめて、目的や目標を自分で定めることはその自主性を養うのに一役買っているんです!
また、少年部に入門するお子さんの中には、いじめを受けていて、いじめてくる子供を見返したい、復讐したいから強くなりたい、と言ってくる子も一定数いるんですね。
空手は復讐のためのツールではないので、いじめ返したり、仕返しをするための拳を育てる訳にはいきません。
しかしながら、いじめに屈しない心や、対処しようと向き合う力を育てることは可能ですよ。
フルコンタクト空手では仲間と体をぶつけ合い、お互いを高め合っていくかたわら、常に己の精神と向き合うことになります。
一回の稽古の中でさえ、しんどい、やめたいけれども、粘ってやりきるという葛藤に苛まれますし、スパーリング(練習の組手)最中にたとえ痛くてもそれをアピールしない精神性を培う場が日々の稽古のはずですから。
お子さんはそういった弱い自分とこの先向き合うことになります。
その時、ここで決めた目的が自分自身を支えてくれるはずです!
2.目的にあった道場を探す
目的が定まったら、それに見合った道場を探してみましょう!
※予算例はあくまで一例となりますので、参考程度にご覧くださいね。
本格的に空手をしてみたい!強くなりたい!方向け
内訳: 入会費(年会費)約1万円、月謝約5,000円、道着代1万円強、サポーター代1万円弱
備考: スポーツ保険や季節によっては冷暖房費が別途かかる場合有。
また、道場によっては入会金無料サービスなどを行なっている場合有。
大手と言われる流派(極真系など)は錬成大会など、地区レベルでの大会行事が充実しているため、実力をつけやすいと思います。
また、お子さんにやる気があって、本格的(長期的)に空手したいという場合は全国大会や世界大会などの出場経験のある師範や指導員のいる道場や、選手クラスが存在する道場がおすすめですよ。
選手クラスとは、一定基準を満たした道場生を集中的に育成するクラスのことで、強い選手と切磋琢磨しあえるだけではなく、より専門的・科学的なアドバイスを得ることができるのが魅力です。
年齢下限などもありますので、入門早々に所属することはないと思いますが、実際の試合経験などを積んだ後に参加を許されることになるため、そう言った環境がある道場を最初から選んでおいた方が後々お子さんの夢を実現するに当たって有利になりますね。
空手を日常に軽く取り入れたい
内訳: 月謝約3,000円、道着代1万円強
備考: スポーツクラブの入会金など別途かかる場合有。
服装が自由で道着代がかからないところもある。
子供同士の交流やエクササイズ目的で空手を取り入れたい方は、スポーツクラブなどの空手スクールに参加することも可能です。
よりカジュアルなスタイルなので始めやすく、スポーツクラブの会員価格で稽古できたり、道着を購入しなくて良いところなどもあるため、意外とオススメです。
まずはお試し感覚で空手を始めてみたい
空手に興味があるけれど、そもそも娘さんにできるかどうか不安な方や、あまりお金をかけずに空手を始めてみたい方は、年会費のかからない道場や、道着購入が必須ではない道場を探してみましょう。
もしくは、1、2回の無料体験でも判断がつくようであれば、複数の流派の道場の体験に行ってみるのもアリです。
都道府県や地域にもよりますが、たまに児童会館などの施設利用料だけで稽古をしている道場などもあったりしますから。
意外と地方自治体のサークル欄に空手情報が掲載されていたりするので、そういった媒体を調べてみるのも良いかもしれませんね。
ちなみに姉妹やご兄弟で同時に入会する場合は、家族会員割引などが適用される道場もあるようなので、その辺も忘れずに調べておきましょう!
3.実際に体験入門してみる
興味のある流派や道場が決まったら、いよいよ実際に足を踏み入れてみましょう!
大抵の道場が無料の入門体験を実施しているので、直接連絡をして体験の予約を行います。
その際、体験時に準備が必要なものをあらかじめ聞いておきましょう。
ちなみに、自分の通っている道場では以下3点のみ持ってきていただいています。
もしも気に入って即入会!という場合は、追加で保護者の身分証明書や印鑑、銀行の通帳なども求められますが、大抵後日郵送なり持参なりできるので、あまり気にしなくても大丈夫です。
お子さんが体験している間、保護者の方は後ろで見学できる場合が多いので、見学中はお子さんだけではなく、周りの父兄や少年部の雰囲気、そして指導員の教え方や道場生と向き合う姿勢をしっかりチェックしておきましょう!
あまり認めたくない話ではありますが、中には高圧的で、道場生を見下したり、分かるように伝える努力を怠っている指導員がいる道場もあります。
また、稽古中に子供同士ムキになってしまうことがありますので、そう言った時にきちんと指導員がその場を収められるかも重要なポイントですね。
個人的には素敵な指導員の方はしっかりと子供の目を見て語りかけてくれる印象があります。
子供の目線に立って考え、自主性を伸ばしてくれるような指導をしてくれる道場は総じてサポートも手厚いハズ。
これからあなたやあなたのお子さんが長く身を置ける道場かどうかを判断する貴重な時間なので、じっくり周りを見回して見てくださいね!
4.いざ入門!
もう入門したし、あとは毎週子供を道場に預けるだけ…ではありませんよ!
武道は年齢を問わず礼儀作法が求められます。
そして、お子さんだけではなく、親御さんの礼節も重んじられるのは当然のこと。
入門後にお子さんが肩身の狭い思いをしないよう、あらかじめ知っておくと良いポイントをまとめてみましたので、よろしければご参考にしてみてください。
道場に足を踏み入れる際、挨拶と礼はしっかりと行うこと
礼に始まり礼に終わるのが武道であり、道場は空手家にとって修練を積む大切な場所です。
お子さんも緊張していると思いますが、挨拶と礼だけはしっかり頑張りましょう!
見学シーンでは、正座して臨むこと
初心者がついていけない稽古などは、後ろで見学させられる場合があります。
そういった場面では正座で待機が基本なので、あらかじめお子さんに教えておいてあげましょう。
もちろん指導員から許可が降りたら足を崩してOKですよ!
これは、道場次第ですが、椅子が用意している道場もありますので、その場合は、椅子の座るのは全然OKです!
年齢に関わらず、先に入門した方は先輩です
当たり前ですが、自分よりも随分年下の子でも年齢に関係なく先輩になります。
子供同士なのでギスギスすることは少ないでしょうが、常に謙虚な気持ちを忘れない姿勢が大切ですね。
娘の道着、硬すぎない?…安心してください!
世界チャンピオンだって、高名な師範だって、初めて受け取る道着はみんな硬いんです!
お子さんの空手歴と共に柔らかくなっていくので安心してくださいね。
また、道着はアイロンがけ不要ですが、くしゃくしゃだとやはり見栄えが悪いです。
洗濯時にパンパンとシワを伸ばすだけでかなり改善されるので、試してみてください。
自分の道具一式に名前を書いておきましょう
道場によっては道着に名入れ刺繍をしてくれるところもありますが、無地の場合は、先輩に習って帯、道着やサポーターに名前を書いておきましょう。
空手あるあるですが、名前を書いてないと誰のサポーターか分からなくなりますから、名前を書くのは必須ですよ!
自分で道着やサポーターが着用できるようになっておきましょう
稽古中は頻繁に道着の着崩れが起こります。
稽古の合間合間で着付けの時間が設けられていますが、数十秒〜数分しかありません。
入門したてのお子さんは高確率で帯が結べなくてパニックになるので、道着を持ち帰ったらまず家で着脱の練習をしておきましょう。
また、組手などで道着がはだける事も多いので、道着の下にはTシャツなどを着せてあげるようにしてくださいね。
無理せず、でも甘えず
補強やスパーリングなど、稽古中はハードな動きを求められることも多いです。
身体が出来上がる前に負荷をかけてしまうと怪我にも繋がるため、無理は禁物ですね。
ですが、苦しい稽古からの逃げなのかどうかは側から見ると一目瞭然なので、お子さんが自分自身を甘やかさないように見守ってあげてください。
オススメの方法は、辛い時のおまじないを作っておく事です。
つい先日の指導中、入門時から甘えん坊で逃げグセのあった子が、数ヶ月後、おまじないを言い聞かせて自分を鼓舞するまでに成長する場面を目にし、うるっときてしまいました。 涙
アザができることがあります!
基本的に大人が目を配りながらの稽古となりますので、稽古中にガチンコで組手をして怪我…となったことは稀ですよ。
ですが、やはり自分の体を駆使するため、捻挫したり、打撲したりしてしまうことはあります。
女の子ということで、ある程度配慮はなされますが、サポーターが付いていない太ももなどに蹴りが入ると一時的にアザができることもあります。
フルコンタクトという性質上、完全無傷とはいかないので、その点はあらかじめ心しておきましょう。
ちなみに当事者の子供は案外平気な顔をしたりしています(笑)
返事は大きく、押忍!
アドバイスしてもらったり、声がかかった場合は「オス!」とお腹に力を入れて返事しましょう!
慣れてくると、大抵のことが「押忍」の抑揚で返せるようになります(笑)
(例) 押忍! オース 押忍押忍オース! お…す↓ 押忍!? 等
ざっとこんな感じでしょうか。
ちなみに、自分の娘が稽古しているところを見てみたい場合は、保護者見学に参加してみましょう。
保護者見学が許されていない道場もありますが、低年齢の子供の場合は大抵見学可となっています。
見学中は見学に来ている保護者同士の交流の場でもありますが、中には稽古中、自分の子供に向かって叱責をしたり、指導員に詰め寄る大人もいますから。
子供達は冷静で、そういった大人の振る舞いを全て見ていますよ。
自分の親が大勢の前で声を荒げたり、自分を優遇しようとして前に出てくることで、子供は自分の自尊心も傷つけられるのです。
組手中に自分の子供が叩かれて傷つくのを見るのは辛いですし、守ってあげたくなるときもあるでしょうが、見学はあくまで「見学」なので、ある程度の節度を持って臨んでくださいね。
5.目標を立てる
入門後ある程度稽古にも慣れてきたら、お子さんに目標を聞いてみましょう。
その際、漠然とした長期目標だけではなく、短期目標も一緒に設定することで、お子さんの計画力を養うことが出来ます。
我が家の例であげると、入門当初にこんな会話を母としていました。
母「★子は、空手をしてどんな風になりたい?」
私「黒帯を取りたい!」
母「そっかぁ、何歳までに黒帯を取りたいの?」
私「んー、わからないやぁ(笑) でも早く黒帯になりたい!」
母「今は白帯だよね、あと11回帯が変わらないといけないねえ。審査は半年に1回だから、小学校が終わる頃には黒帯になってるかな?」
私「小学校終わるまでに黒帯になりたい!」
母「そしたらまずは帯に色をつけないといけないねぇ」
私「次の審査でオレンジ色にしたーいなー」
実際にはもっとグダグダした日常トークなのですが、要約するとこんな感じです。
この後も稽古が始まる前に母と「目指せ!オレンジ!」と合言葉をいったりしていたので、私の中では次はオレンジ帯になりたい、そしてゆくゆくは黒帯になるんだ!という目標が明確になっていました。
今思うと、母にうまいこと乗せられている訳ですが(笑)
それを何回か繰り返しているうちに、試合で負けた後に次の試合で勝ちたい、でもこういう勝ち方をしたい、こういう負け方はしたくない、という風に具体的な目標が立てられるようになりました。
そして、その計画力が日常の他のこと、例えば勉強の目標だったりに活かせるようになって初めて、空手をやっていてよかったと思えるようになりました。
日常において何かしらの決断をするとき、「自分はこれだけやったからきっと大丈夫!」という経験がないと自信が湧いてこないことに気が付いたからです。私にとってそれが空手の稽古でした。
もし今も、目標を立てずにだらだら稽古をしていたら、その達成感を得られることがなくずっと白帯だったかもしれないですね!(笑)
目標は必ずしも黒帯である必要はありません、週に2回稽古に必ず通うこと、スクワットを50回できるようになること、これら全て大切な目標です。
是非皆さんも、お子さんと一緒になって目標を探してみてくださいね!
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
少しメンタルよりの記事になってしまいましたが、自分自身で空手をしていてよかったことを振り返ってみると、やはり子供の頃に空手の稽古を積んだ経験が一番大きかったと感じています。
「空手してる人は礼儀正しい」というイメージが、道場生に自負を生んでいて、正しくあろう、悪いことが出来ないブレーキになっている気がするんですよね。
そして、失敗した時やうまくいかなかった時も周りの大人や仲間が向き合って全力でサポートしてくれる環境が道場だったなぁとしみじみ思い返したのでした。
これから先、お子さんが壁にぶつかった時は、入門した日のことを一緒に思い出してサポートしてあげて欲しいです。
そして、これは私の師範がよく口にする言葉なんですが、逃げずに向き合った時は、結果にかかわらず、向き合った子供をたくさん褒めてあげてくださいね!
押忍!